妻が妊娠したので『妊娠と授乳』を買いました

病院薬剤師の頃、妊婦や授乳婦の夜間救急対応でとてもお世話になった一冊『薬物治療コンサルテーション 妊娠と授乳』。一冊8,000円 (+税) とかなりのお値段ですが妻の妊娠をきっかけに購入しました。

薬剤師として、よく使われる薬や胎児への影響が大きい薬は頭に入れているつもりですが、これを機会に勉強しなおすことにしました。

伊藤真也 村島温子編『薬物治療コンサルテーション 妊婦と授乳』 (南山堂)
妊娠と授乳 薬物治療コンサルテーション[本/雑誌] / 伊藤真也/編集 村島温子/編集価格:8,250円
(2021/3/22 07:38時点)
感想(0件)

妊娠時期の分類と大まかな薬の使い分け

妊娠時期注意すべきポイント注意すべき薬の例
妊娠初期(0~14週)胎児の器官形成に影響がないか(催奇形性の有無)ビタミンA製剤
抗がん剤
アルコール
妊娠中期(14~28週)中枢神経の発達に影響がないかARB等一部の降圧薬
アルコール
妊娠後期(28週~出産)胎児や新生児に副作用を起こさないかNSAIDs(消炎鎮痛薬)
ARB等一部の降圧薬
向精神薬、睡眠薬
アルコール
授乳期(出産~乳離れ)母乳に薬が混ざらないか(乳汁移行性)
母乳の出に影響が出ないか(乳汁分泌抑制)
抗てんかん薬
経口ピル
アルコール

妊娠中、授乳中は胎児や乳児への影響から使える薬が制限されます。さらに、妊娠初期~中期~後期で使える薬の種類が変わってくることにも注意が必要です。胎児に奇形を起こした薬害事件で有名なサリドマイドは妊娠初期~中期に影響が大きい薬です。市販薬もあり痛み止めとしてよく使われるNSAIDs(ボルタレン、ロキソニンなど)も妊娠後期に使用できないことで有名な薬剤の一つです。

薬の使用に不安があったら

妊娠中はつわりや便秘、腰痛などの痛みに悩まされる方も多いです。病院でも、薬に対する不安感から症状を我慢してしまう妊婦さんによく出会いました。それでも子供を産んでくれるお母さん達には本当に頭が下がります。

不安があれば産婦人科の先生に相談することはもちろん、ドラッグストアや薬局の薬剤師に相談してください。きっと力になってくれます。薬局や病院によっては妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師、専門薬剤師の資格を持った薬剤師がいるところもあります。令和元年現在で認定者は全国に21名と数は少ないですが、妊婦、授乳婦の薬物治療のスペシャリストたちです。日本病院薬剤師会で氏名と所属病院が公表されていますので調べてみてはいかがでしょうか。

日本病院薬剤師会:妊婦・授乳婦専門薬剤師部門

https://www.jshp.or.jp/senmon/senmon4.html

他にも、厚生労働省の事業として国立成育医療研究センターが薬物治療の相談を受けています。リンクを張っておきますので興味のある方は見てみてください。

国立成育医療研究センター:妊娠と薬情報センター

https://www.ncchd.go.jp/kusuri

当サイトでもコメント欄で相談いただければ個別に対応いたします。薬によっては妊婦、授乳婦に対する検討が十分に行われておらずお答えできない場合もありますが可能な限り資料を探してお応えできるよう努力します。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です